あたしってば、逃げてばっかりな子。

でも、これは第一歩、あたしの想い聞いてくれますか?

あたしの気持ち



「はぁ・・・まぁた、やっちゃった。」

放課後の誰もいない教室で独り自己嫌悪。
友達と喧嘩しちゃった・・・。
しかも、あたしが一人で勝手に怒ってさ・・・。
傷つけて・・・。
あたしってば、まだまだ子供。こんな自分嫌んなっちゃう。
ずっとずっと言いたいこと我慢してそれを、ふとしたきっかけでぶちまけちゃう。
あたし成長してない。
こんなんじゃ、好きな人に告白するなんて絶対無理だよ。
「はぁ〜。」
二度目の溜息とともに机に突っ伏した。
「あれ、じゃん!」
声のしたほうを見ると教室のドアのところにユニフォーム姿のクラスメイト―山本君がいた。
ファンクラブがあるくらいもてて、最近は沢田君、獄寺君とよくつるんでる。
兄貴タイプだと思う。
そんな彼にあたしが惹かれてるなんて内緒。
あたしなんかつりあわないから。
「どうしたんだよ?」
彼はあたしの前に立って心配そうに聞いた。
あたしは、顔を上げ彼を見る。
西日が差し込む。
あたしってば、こんな至近距離で見て喋ったの初めてかもしれない。
やっぱり緊張する。
「喧嘩したんだ。」
こんなことを話して迷惑じゃないかとかいろいろ思った。
「へぇ・・・珍しいな。」
彼は嫌な顔一つせず話を聞いてくれる。
喧嘩したのは昼休み、廊下でだった・・・。すっごく些細なことだった。
ちょうど、山本君は沢田君や、獄寺君と屋上にいたから知らないだろう。
「あたしが勝手に怒ったの。」
あたしは、「エヘヘ」と笑う。
「良いんじゃねぇ?」
優しい言葉とともに頭に降りてきたのは大きくて温かい手だった。
それに気づくとあたしの頬は熱くなった。
は、それまでずっと我慢してきただろ?言いたい事閉じ込めてきただろ?言葉にしなきゃ伝わんないことはたくさんあるんだぜ。」
優しい声。大きな手で頭を優しく撫でられる。
それが気持ちよくて、そっと瞳を閉じた。

あの時、あの子は驚いた表情をしてた。
目を見開いて、何か言いたそうだったのに、あたしは、我に返って怒ったことに居た堪れなくなってそのまま逃げ出した。
あの子は何が言いたかったんだろう。
あたしとあの子、親友だって思ってたのにあたしは、あの子に対して気持ちを全然ぶつけなかった。
我慢することが正しいって思ってたけど、それは逃げていたのかもしれない。
多分、あたしの場合いつもどんなときでもそうだから。
告白できないのもつりあわない、迷惑になる。を言い訳にして振られて自分が傷つくことから逃げていたのかもしれない。
自分が傷つくのを覚悟でいなくちゃ手に入らないものは沢山あるのに・・・。
だから、もう逃げないんだ。
これを、まず一歩にしたい。

そっと、目を開け山本君を真っ直ぐに見る。
「あたし・・・、言いたいこと我慢してそれが良い事だって思ってきたけど、それはきっと、あたしの逃げだったんだと思う。だから・・・まず、山本君に聞いて欲しいの!」
「ん?」
「あたし・・・」
鼓動が大きく聞こえる。
やっぱり言うのをやめようか・・・。
迷いも生まれる。
決めたんだ、逃げないって。
「好きです・・・。」
二人だけしかいない教室にその言葉が響く。
「俺もだ。」
あたしは、今の言葉に耳を疑う。山本君はニッと笑っていた。
「俺も好きだぜ。のこと。のこと見てたぜ。なのに気づかないんだもんなぁ・・・。」
そうだったんだ。
あたしは、そっと笑う。
「ありがとう。」
「こちらこそ、これからよろしくな。」
「うん。」

次の日、あたしは友達と和解した。
なんというか・・・その子は怒っていたんじゃないらしい。
あたしの思いをぶつけられて驚いたみたい。
がそんな風に考えてるなんて思ってなかったからさ。」
笑っていた。
友達のほうがあたしよりよっぽど大人なんだなって思った。
「今度からはちゃんと思ったこと言いなさいよ!!私たち親友なんだから!」
ってデコピンされたけど。

「山本君!仲直りしてきたよ!」
「良かったな。」
「そういえば、どうして昨日教室に来たの?忘れ物とかしてたわけじゃないのに。」
屋上で、二人並んであたしは空を見上げた。
「あぁ、グラウンドからが見えたから来たんだよ。」
その言葉にあたしは真っ赤になる。
「今更何照れてんだよ。」
相変わらず楽しそうに笑ってる。
「これから、あたし、きちんと言いたいこと言える子になるから、見守っててね。」
「了解!」
その第一歩をくれたのは貴方だから・・・。


終わり


あとがき
言いたいことをきちんと言うって言うのは難しいですよね。
それが言っていいことなのか、言ってはいけないことなのかの判断。言ってはいけないことを言ってしまったらその人が傷つく。
それは、自分がその人との関係の悪化を恐れているからって言うのもあるのだろうけど。
でも、言わなければ人には伝わらない。言わなければ自分が苦しむ。
だけど、やっぱり意見を言い合ってお互いに分かり合ったほうがいいと思います。
あとがきなのにこんなことを長々とお付き合いありがとうございました。