いつだって私の恋は静かに静かに閉じていく。
好きって簡単に言えればどんなに楽なんだろう。
素直恋愛
放課後の教室はがらんとしていてとても広く感じる。
はただ一人ぼーっと窓から外を眺めていた。
聞こえてくるのは音楽室から聞こえるブラスバンドの演奏と
グランドの運動部のかけ声。
「今日も、頑張るんだなー」
一人きりの3-2教室でののつぶやきはたくさんの雑音の波に呑まれていった。
彼女の視線はいつも同じ場所でとまっていた。
テニスコート上にいる薄い髪の色をした人物。
不二周助――・・・
「――今日も・・・・綺麗。」
不二とは同じクラスになった事はなかった。
ただ一度、中二の時に委員会が同じで少しだけ話をしたことがあったくらいである。
しかし、はほんの一言二言の会話とも呼べるかままならないやりとりの中で
自分の中に生まれている気持ちに気づいてしまったのだった。
気がつくと不二のことを考えていて
もしかして、私は――なんて思ってはバカみたいと頭を振って
女の子と話をしているのを見ては胸が痛くて
気がついた時は遅かった。
仮定でごまかせなくなっていた。
自分の中における彼の存在が膨らみすぎていた。
「こんな・・・どうすればいいんだろう・・・。」
恥ずかしくてまともに顔もあわせられない。
そもそも共通点がほとんどない。
苦しいのにはけ口もない。
ドウシテ好キッテ気ヅイテシマッタンダロウ
「――苦しそうだね。」
「うん・・・・!!?」
が振り返ると自分以外誰もいなかったハズの教室にもう一つの影。
青学レギュラージャージを着て教室のドアの所に立っているのは
紛れもなくつい今までコートに立っていた不二であった。
「ど・・・?」
「うん、頼まれたから、大石の荷物を取りにきたんだ。」
そういって教室の中にすっと入ってきた。
そして大石の荷物を取り「あった」と言うと不二はドアへ歩き出した。
「邪魔して、ごめんね。」
ぴしゃん
長く長く黒い影と声の余韻だけが残っていた。
いつも静かな余韻にだけ浸って
散っていくのを見ているしかない。
小心者な自分。
声を出して好きと叫べば散るものは鮮やかな色を伴うだろう。
恐れを勇気に変えれば静かに泣くだけでは終わらないだろう。
「どうして、私っていつも・・・っ。」
一滴の涙で終わらせる片思いが綺麗だと思っていた。
実際は・・・。
「痛い・・・んだね。」
「何が?」
「!?」
うずくまっていたが顔をあげると澄んだ瞳がこちらを見つめているのが見える。
「どうして・・・?荷物を持っていったんじゃ・・・」
「気になっていたから、かな。」
そう言ってにこりと笑うのは紛れもなくいつも見ていた不二周助――。
「いつも、見ていたよね。ここの窓から」
「うん」
「何を見てたの?」
夕焼けの中微笑む貴方はとても綺麗。
目を細めても光りすぎてよく見えない。
声を出したいのに胸が詰まって唇の動きだけが空回りしている。
震えるの指にそっと不二の長い指が触れた。
「ゆっくりでいいよ。僕は待ってるから。」
言ってしまっていいのかな。
困った顔されたらとか、嫌われていたらとかいろいろと思うけど
そんな怖さよりも今は、伝えたい。
「いつも・・・不二君を見ていたの。」
「うん。」
「生き生きしてて・・・すごく綺麗だと思ってたの。
私とは生きる世界が違う人だなって・・・」
「・・・うん。」
「でも、ずっと・・・私はっ・・・」
不二の人差し指がの唇に軽く触れて、言葉をさえぎった。
「この先は僕が最初に言いたいんだ。」
「え・・・?」
「さん、僕は君のことが―――」
教室に伸びる影は一つ。
ただ素直に好きになっただけ。
それだけの事。
END
私は素直にいえない子です。
もともと異性と話すの苦手なので・・・(苦笑)
ただ、素直に言えたら絶対に世界は変わるから言いたい。
たとえそれが絶望でも、幸福でも。
言わなくて後悔するのは辛いから
4/27 瀬尾 亜梨子