素直な気持ちとチョコレート 後編




キーンコーンカーンコーン

チャイムが聞こえる。どれくらい走った?

あたしは、中庭の池にいた。

もう5時間目も6時間目もサボちゃえ。
あんな、へこんだ顔、4人に見せてしまった。なんか、戻れる気分じゃない。

「バレンタインなんてだいっ嫌いだ!!」
空に向かって叫ぶ。涙がひとりでに出てくる。

バレンタインが嫌い。

貴方を好きなあの子達が嫌い。

気づいてくれない貴方が嫌い。

八つ当たりする自分が嫌い。

素直になれない自分が嫌い。

嫌い
キライ
大キライ!!


「くっ・・・う・・・」
涙が止まらない。かがんで一生懸命止めようとする。
あたしのバカ・・・。

・・・?」
声のしたほうをむくと桃城がいた。
「桃・・・城?」
ハッと気づき目をガシガシと擦る。
「授業はどうしたんだよ!!」
いつもの調子で聞くと彼はあたしの隣に来て話し始めた。
「サボリ。お前を探してたんだよ。荒井達がうまくごまかしてくれてるけどな。」
「あたしなんか探さなくたっていいじゃん。」
「バーカ、俺達親友じゃん。」
親友・・・。その言葉が重くのしかかる。
「う・・・ん。親友だよね。」
「さっきは、ごめんな。辛いこときいて・・・。」
桃城が辛い顔することないよ。あたしが悪いんだから。
「ううん。気にしなくてイイよ。桃城はちゃんと彼女から貰うんだろ?」
あたし・・・いつもの調子でしゃべれてる?笑えてる?
「あ?何言ってんだ?俺に彼女なんていねーよ?」
「え・・・ほら不動峰のタチバナさん!!」
「橘妹?アイツは友達だぞ?」
ちょ・・・待ってよ。あたしの勘違い?笑えないよ?
・・・?」
「あーもう!!」
バカみたいじゃんか!!あたしの涙返せ!!
思いっきり立つと桃城は横で驚いていた。
あたしは、鞄からガサガサとチョコを取り出す。
「やる!!」
「え・・・」
「え?じゃない!!やる!!受け取れ。ちなみにあたしは義理をばら撒くほど金は持ってない!!」
こんなときまで素直じゃない。でも顔は真っ赤・・・。

桃城はあっけにとられていたが、受け取りながらあたしの言葉を聞いて笑い出す。
「ありがとな・・・。」
そう言って、包みを開けチョコを食べた。
「ビターだな。お前らしいや。俺、好きだぜ。」
「・・・へぇ・・・意外だ。ビターが好きなのか・・・。」
あっけにとられながらチョコを食べる桃城を見ていた。
「・・・あのなぁ、言ったろ。お前『らしい』って。苦めだけど、甘さもちゃんとあって、普段、素直じゃないお前みたいだよ・・・。
・・・そうそう、親友宣言も撤回な。
しかも、橘妹を彼女と勘違いするなんてなぁ。お前らしーな、お前らしーよ。」
桃城が赤くなりながら笑う・・・。

えっと・・・つまりは・・・あたしが好きってこと!?

「バカ〜!!」
真っ赤になって叫ぶ。
「は?」
「もっとわかりやすく言えよ!!わかんねぇだろ!!」
「・・・お前だってわかりにくいだろーが。ま、そんなとこも好きだけどな。」
赤くなるあたしを見て楽しそうに笑う桃城。
「くそぅ・・・。曲者め。ホワイトデーは3倍返しだかんな!!」
「まじかよ!!」
「おうよ!!それ確か〜、」
「値段言うかぁ!!色気ねぇなぁ。」
「気にすんな!!あ、そうそう。」
「ん?」

・・・ちょっとだけ・・・な。

「桃城!!大好きだよ。」
「・・・・お、おう。」
不意打ちにかなり驚いたようだ。だって、今までの勘違いもとけて嬉しかったし・・・。それに・・・。

ビターだって甘さもあるんでしょ?

―空は快晴。バレンタインなんて、今はチョコレ−ト会社の策略で女から男に・・・なんて言われてて、やっぱり好きにはなれないけれど・・・こんなことがあるなら少しは好きになってやっても良いかな。なんて思う―




後日談

両想いになったあたしと桃城。
荒井とまさやんと林に、おめでとう!!と祝われ、お前ら両想いなのになかなかくっつかねぇんだもんなぁ。と言われ、ほんとヒヤヒヤしたぜ。と心配されてて、これからも、俺達5人は親友だぜ!!と宣言された。

あの3人にはお見透視だったんだなぁ・・・。と感嘆するとともに、感謝した。
この3人ぐらいには、今度からチョコをあげよう。と思った。



終わり






後書き
ハッピーバレンタイン!!ドリです。(笑)
荒井とまさやんと林も出せて楽しかったです。
2−8の4人と仲良くなれたらきっと楽しいだろうなぁ。なんて思ってみたり。




2005.2/14 白王 龍華




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