素直な気持ちとチョコレート 前編
―2月14日―
空は快晴。女の子はハリキリ。男子はソワソワ。
なんっつーかバレンタインって空気ムンムン・・・。最悪。
「おはよ!!」
「あぁ、おはよ。」
「元気ないねぇ。バレンタインだから・・・?」
私の友達が顔を覗き込んできく。
「わかってんじゃん。」
バレンタインなんて大嫌いだ。女が男に告白だぁ?なんでこっちから言わなきゃいけねぇんだ。チョコレート会社め。余計なことしやがって。バレンタインの雰囲気に便乗してコクって振られる身にもなってみろ!!・・・ちなみにあたしはまだないよ?友人らの経験をいっつも語られただけ。
・・・それに、あたしは素直になんてなれない。
「元気の無いキミに朗報!!テニスコートに桃城君発見!!」
「・・・っ!!」
桃城って名前聞くだけで赤くなるあたし。ありえないでしょ?
そう、あたしは同じクラスの桃城が好き。1年ときから気になってた。
2年になってから桃城、荒井、まさやん、林と仲良くなってクラスではよく4人でつるんでた。
コートを向くといつになく女の子たちが群がってる。
海堂とか迷惑そうな顔してるな。
とりあえずあたしは、あまり人のたまってなさそうなとこまで走った。
「荒井、まさやん、林!!おはよ。」
「おう、か。」
「あいかわらず、すごいね・・・。」
「今年は越前もいるからなぁ。」
まさやんが苦笑いを浮かべて答えた。
「そだね〜。越前カッコイイもんね〜。んでキミたち3人は今年ももらえないわけか・・・。」
あたしが意地悪く笑うと3人は「うるせぇ!!」と声を揃えた。
「桃城く〜ん!!頑張って〜!!」
群がっているほうから声が聞こえた。桃城はそっちにむかって手を振っている。・・・バーカ。
「バカ城〜!!ちゃんとやれよ〜!!」
ムッとして叫んだ言葉がコレ。
少しでもこっちを向いてほしくて・・・。
「〜!バカ城とか言うなよ〜!!」
桃城がこっちを向いてラケットを振る。
荒井達は笑ってる。
「知らね〜よ、えちぜ〜ん!!そいつにツイスト食らわせてやれ〜!!」
桃城と試合中の越前に叫ぶと、越前はにやっと笑い「ッス!!」とあたしにうなずいた。
「んじゃ、あたしは先教室いくわ。じゃ〜ね。」
「ぎゃはは・・・。あれから、桃マジでツイスト食らってやんの!!」
昼食中、荒井とまさやんと林が大笑いする。
「、何俺に怒ってんだよ?」
「きちんと練習しねぇからだよ。」
言えねぇよ・・・。ただのやきもちなんて・・・。
「そういや、桃チョコいくつ貰ったんだ?」
「あ〜。15個超えたかなぁ・・・。」
そんなに貰ってんだ・・・。多分、義理もあるけど、やっぱもてるなぁ。
「さすが、桃だよなぁ・・・。」
「は?」
いきなり桃に振られ驚く。
「は誰かにあげたのか?」
桃の言葉に荒井もまさやんも林も興味しんしんだ。
「義理はやってない・・・。」
「ちげーよ、本命だよ!!」
「本命は・・・。」
確かに鞄には入ってる。桃城あての・・・。友達と買いに行ったときに買っておいたほうがイイ。と言われて買ったもの。あげられなくてもイイと思って自分の好きなビターチョコを買った。
・・・あたしは知っていろ。桃城には、不動峰のタチバナさんって彼女がいること・・・。楽しそうに二人が笑ってたのを・・・。
「いても・・・あげられないよ・・・。」
あたしが俯いて蚊の鳴くような声で言ったので4人はすごく困った顔をしてる。
「あげられない?」
荒井が不思議そうにきく。
「だって・・・その人には・・・彼女が・・・いるの・・・。あげられない・・・。好きに・・・なっちゃいけない・・・。」
桃が目の前にいるのに当てつけみたくなってる・・・。
あたし、嫌な子だ・・・。
かってに涙まで出てくる・・・。耐えられない・・・。
「ごめん、ちょっと、調子わりぃや・・・。」
それだけ言うとあたしは、教室を飛び出した。
あたしの行き場のない想い・・・この気持ちはどこへ行けばイイんだろうね。
桃城の困った顔が忘れられない・・・。
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