桜姫


私のお気に入りの場所、中庭の桜の木の上。
大好きな桜が咲く場所。
木に登って昼寝するのが私の日課。
そして、私と貴方が出会った場所。

「あ〜、卒業式も終わったしここで、こうするのも今日で最後か〜。」
私は、少しずつ咲きはじめた桜の木に登り伸びをした。

さ〜ん。」
遠くから私を呼ぶ声がする。私の大好きな声・・・。

「やっぱりここにいた。」
息を切らせ、私を見た。
「お疲れ、剣太郎君。」
私は剣太郎君を見て片手をあげた。
私の大好きな人・・・。
剣太郎君があの日、私をここで見つけてくれた日から。

―1年前の入学式―
私はいつものように木に登り満開の桜の中にいた。
あまり人も来ないから落ち着けるし、一人の時間も作れるから好きな場所だった。
それにこの満開の時期なら人が来ても見つかることは絶対無い!!・・・ハズだったのに・・・。

「あれ・・・こんなとこでなにやってるんですか?」
下からした声に気付き声のほうを見る。
「私?サボリ。」
入学式のあとにある部オリ面倒だったし。
私は男テニのMGだったがオリに出る気はなかった。
きっとサエ、バネ、いっちゃん、亮、ダビ、聡がなんとかしてくれるし、あいつ等意外ともてるし。
「良いんですか?サボって」
丸坊主の学ラン少年は私を見ながらブンブン両手を振る。
「良いの。君こそ良いの?」
そう聞くと少年は急に慌て出した。
「あ、あの道に迷っちゃって、体育館行かなくちゃ行けないんですけど。」
・・・1年生か。
「それならあっち。」
私が少年が来たのと逆をさすと、慌てて走り出す。
が、少し走って足を止めると私に向き直った。
「あ、あの1年葵 剣太郎です!!あなたは・・・」
「3年 。」
「ありがとうございました!!先輩!!」
彼がそう言った時一陣の風が吹き抜け桜が舞った。
そのせいかわからないけど剣太郎君の笑顔が素敵だった。印象的で目に焼き付いて離れなかった。
それから剣太郎君がテニス部に入ってきて再会して剣太郎君が部長になって一緒にいることが自然と多くなって惹かれていった。

さん、テニス部の送別会始まりますよ。サボるなんてことはしないで下さいよ。」
そんなことしないよ・・・。剣太郎君がいるんだから。
「そんなことしないよ。わかった、今降りる。」
降りる体制をつくる。剣太郎君の顔が歪んだ。
「ま・・・まさか・・・」
「そのまさか!!ちゃんと受け止めてよ!!」
「え・・・え・・・」
「とう!!」
声とともに剣太郎君めがけて飛び降りた。
「うわぁ!!」
う〜ん、ロマンティックにゃいかないね。バネやサエ達なら成功するんだろうけど・・・
と私の下敷きになって潰れている剣太郎君を見た。
さん・・・。」
「ごめんごめん。」
笑いながら立ちあがった。
「無茶しないで下さいよ〜。」
立ちあがり制服に付いた汚れを払っていた。
「あのね、剣太郎君、私言わなくちゃいけないことがあるんだ。」
「なんですか?」
私が少し見上げる形になる。165センチだっけ・・・。入ったころはまだまだ小さかったのに、こうしてドンドン大きくなっていっちゃうんだね。
「私、剣太郎君のこと好きだよ。」
剣太郎君の表情が固まる。
やっぱり・・・ダメ?
私が首を傾げると剣太郎君が真っ赤になって叫んだ。
「えぇ〜!!いいいいい良いんですか?ぼ、僕年下で、サエさんとかみたいにカッコ良くないし!!」
「そんなこと言ったら私だって年上だよ?私、気にしないし別にサエとかとくらべたりしてないよ。剣太郎君には剣太郎君の魅力があるんだし。で、私はそう言うこと抜きにした剣太郎君の答えが聞きたいの!!」
「僕、入学式で会ったときからさんが好きでした!!よろしくお願いします!!」
彼は真っ赤になりながら、律儀にお辞儀をし右手を差し出した。
私はクスッと笑うと剣太郎君の右手に左手を重ねた。
「こちらこそよろしくね。私も入学式の時から剣太郎君が好きだったから。」
「え・・・」
と剣太郎君が顔を上げる。
「笑った顔が素敵だな。って・・・。」
「嬉しいなぁ!!僕桜の中にいたさんがお姫様に見えたんです!!」
お姫様って・・・。嬉しいような、恥ずかしいような。
「そんな大層なもんじゃないけど。」
「いいえ、僕のお姫様です!!・・・でも今日で卒業なんですよね。」
剣太郎君が桜を見ながら呟いた。
「うん、けど、会えなくなるわけじゃないし、それに高校で待ってるから。」
「そうですね。これからはずっと一緒なんですよね。」
「うん。」
私達は少し咲き始めた桜をいつまでも見つめていた。

「剣太郎、!!」
「「え」」
声がした後ろを振り返るとサエ、バネ、ダビ、いっちゃん、亮、聡が勢ぞろいしていた。
皆がニヤニヤしているのに気付き剣太郎君が慌てて手を離した。
「ふ〜んそういうことなのか。」
「何がそういうことなのね〜?」
「剣太郎もやるなぁ。」
探しに行って帰ってこないと思ったら・・・クスクス。」
「桜見て錯乱。」
ドガッ。
「バネ、いっちゃん、聡、亮、ダビが口々に言う。剣太郎君なんかゆでだこ状態。
「悔しかったらあんた達もさっさと私ぐらいカワイイ子見つけなさいよ。」
・・・確かに学ランのボタンは全部無いけど。
ぐらいカワイイ子かぁ。それはなかなか見つけられないなぁ。」
サエが笑顔で言う。嫌味だ。最悪だ。
「ほら、早くかねえと、皆待ってんぞ。」
バネがそう言い、皆戻っていく。
私も、行こうとし、足を止めもういちど桜を見た。
さん?」
剣太郎君も足を止め私を見た。
「ううん、なんでも無い。行こう。」
「はい!!」
入学式の時に見たような笑顔だった。
やっぱり、素敵だ。

―私と貴方が出会って恋をした場所。
いつまでも、綺麗な花を咲かせますようにー

終わり






後書き
卒業シーズンっちゅうことで。
けど卒業あんまり関係無い感じ?
剣ちゃんは結構書きやすい子です。


3/21 白王 龍華