理由



「え・・・?」
「せやから、昨日、 ちゃん泣いてたで?何があったか知らへんけど・・・。」
「あ〜!!そういえば、今日、 来てなかったな。とりあえず風邪とか言ってたかも!!」
忍足と向日の言葉を聞くやいなや俺は走り出した。
「ちょ・・・跡部!!部活は!?」
「メニューは部室の机の上だ!!忍足!向日!お前らに任せた!!」

普段なら絶対こんなことはしない。
けど、今はそれどころじゃなかった。

会いたい。
ただ、それだった。

の家に行くと母親が出てきた。
「えっと・・・あなたは・・・?」
息を切らせて家の前に立っている俺を見て不審に思ったのだろう・・・。
の母親は少し怪訝そうな顔をしていた。
「あの・・・ さんと同じ部活の跡部と言いますが、 さんは・・・」
「あの子なら散歩行くって出てったわよ。」
「ちっ、すみませんでした!!」
俺は母親への挨拶もそこそこにまた走り出した。

どこに行った?どこで1人で泣いている?

走っていたら水滴が頬に当った。
雨か・・・。
立ち止まり空を見ると真っ暗な空から雨粒が一滴、二滴・・・。それから、サーッと降ってきた。

・・・これは、お前の涙なのか?
だとしたら、1人でなんて泣かせておけるはず無いだろう!!

走って走って河原まで来た。
そこで見つけた見覚えある小さな小さな背中・・・。
!!」
はビクッっと肩を震わせ振り向かず逃げ出した。

何故・・・
拒否された俺は、今お前をどんな風にひきとめれば良い?

!!」
走る腕を掴み引き止める。考え出した結果がコレだった・・・。
振り向いた顔は怯え目から涙が零れている。
「・・・っ。」
正直戸惑った。言葉なんか出なくて腕を掴んだまま立ち尽くした。

「・・・・・・放して。」
「あ・・・?」
の弱々しい言葉に我に返った。
「なんで・・・。なんで私なんかを構うの?私はただの氷帝マネージャーで跡部は部長。でも・・・私はもう、マネージャーも出来ないかもしれないんだけど。」
「何故だ・・・?」
「一緒にいると迷惑をかけるし・・・。」
「馬鹿か!!」
俺が声を荒げるとビクッと肩を震わせた。
自分でもこんなに怒るなんて初めてだ・・・。
「迷惑なわけあるか・・・だって、俺はお前が・・・」
「・・・・。」
言葉が上手く出てこない。今までならどんな女にでも簡単に、好きだの愛してるだの軽く使えたのに、こいつの前だと言えなくなる。
今までの誰よりも何よりも大切だから、本気だから・・・。
こいつは俺の事をどう思っているんだろうか。
この手で頬に触れたら・・・?
それだけで全て失いそうな気分になる。

「跡部?」
「俺はお前を迷惑だなんて思っていない。だから、もう泣くな、風邪ひいたらどうするんだ!?帰るぞ!!」
に見上げられ不覚にも赤くなる。
焦って踵を返し歩き出した。
「待ってよ!!跡部。」
後ろから もついてきた。

何故泣いていた?何故俺から迷惑だと思われてると思うんだ?
そんなことをきいてもお前は隠すのだろう。
だから、あえてききはしないがお前の辛そうな顔は見たくないから、俺は本気でお前を守りたいから・・・。




・・・?今日は来てるぜ?」
次の日の部活の時間、 の姿は無く向日にきくとこう答えが返って来た。
・・・嫌な予感がする・・・。
昨日の の言葉、姿が俺の頭の中でリフレインされた。
「探して来る!」
俺は向日に有無を言わさずコートを飛び出した。

どこにいる?

校舎裏に差し掛かったときだった・・・
「アンタ、テニス部やめろって言ったでしょ!!」
「跡部様が迷惑してんのマジわかんないの?」
「皆ホントはメーワクしてんの!さっさと辞めろよ!!」
何人かの女に囲まれている奴を見てハッと息を飲んだ。
!!」
俺の声に女どもは、俺のほうに振りかえった。
「あ・・・跡部様・・・。」
「こ・・・これは・・・。」
「お前ら・・・。」
静かな口調で に手を差し出しながら話した。
「勝手なことをべらべら言うんじゃねぇ。お前ら・・・なにしてんのかわかってんのか?あぁ?」
静かな口調で振り返ったが俺の顔は怒りに満ちていた。
「ひっ・・・」
「ご・・・ごめ・・・。」
「跡部先輩!!」
に呼ばれ我に返る。
「私なら大丈夫。だから、怒らないであげてよ。」
「・・・ に免じて今回は許してやる。わかったら行け!!」
女どもは泣きながら去っていった。
「跡部・・・」
傷だらけになって見つめる を俺はそっと抱きしめた。
「あ・・・跡部!?ど・・・どうしたの!?」
「・・・好きだ。」
言いたくても言えなかった言葉をそっと口に出した。
「え・・・?」
「お前をこんな目に合わせたくなかった・・・。もっと早く気付いてやれば良かった。」
いつも元気に気丈に振舞っているお前だから、助けてやりたいんだ。
「・・・。私も、先輩が好きだったよ。マネージャーの仕事も大好きで・・・けど、跡部の迷惑になってて・・・私のせいで我慢してるのならやめよう・・・って・・・。」
肩越しに泣き声が聞こえた。
「バーカ、昨日も言ったけど迷惑じゃねぇよ。それにお前は、ミーハーな奴らとは違ってマネージャーの仕事、本当に楽しそうにやってたじゃねぇか。そんなところに俺は惹かれたんだ・・・。」
自分でこんなこと言うとは思わなかった。本気っていうのはすげぇな。
俺は の背中を軽く叩きながらそんなことを思った。
なぁ、本気で好きになる理由なんて意外と簡単なものなんだな。
それを教えてくれたのはお前なんだ・・・。
・・・。」
「跡部?」
の頬に手をのせる。
「ありがとう・・・。」
「ん?こちらこそだよ。ありがとね。」
俺達はお互い笑いあった後触れるだけのキスをした。

終わり

後書き
前半部分は葉香さんに送った跡部の「理由」を元にした話だったんですよ。(ちょっと違うけど)
んで、こっちに書きなおすときに要望で『ヒロインがファンの子に「跡部様に迷惑かけないでよ!!」って言われてるシーンが欲しい。』と言われたので付け足し。
そしたらなんか訳わかんない感じに・・・。
あう〜、キャラもなんか違う?(逃)