どうやらサンタさんはときどき慌ててやってきて
プレゼントを置いていくらしい。
あわてんぼうのサンタクロース
「あなたっか〜ら〜メリクリスマス、わたしっか〜ら〜メリクリスマス!!」
11月の下旬ぐらいになると街がクリスマスムードになってきて流れてくるBGM、お店の飾り、それだけで私の心はワクワクする。
買い物袋を大きく振りながら私は意気揚々と歩いていた。
「あでっ!」
買い物袋が前を歩いていた人にぶつかってしまった。
「す・・・すみません!!大丈夫ですか!?」
慌ててその人に謝る。
「良いって良いって。」
そういいながら振り返った人の顔を見て、私は固まった。
「大きい・・・リョー・・・マ君?」
「ん?チビスケの事知ってんのか?」
私の言葉に大きなリョーマ君はきょとんとした。
「越前リョーガさん?」
「そ、チビスケの兄貴。」
私たちは、なんとなく成り行きで喫茶店に来ていた。
どうやら、大きいリョーマ君の正体は越前リョーガさんというリョーマ君のお兄さんらしい。
やっぱり見れば見るほどリョーマ君そっくり。
あ、自己紹介しなきゃ。
「あ、です!!。青学3年。」
「俺も今は青学3年だぜ。あの、じじむさい部長・・・じゃなかった手塚と同じクラス。」
・・・そーいえば、手塚君のクラスにリョーマ君似の人が転校してきたとか言ってたっけ・・・。
私その頃、失恋したばっかでそれどころじゃなかったっけ。
「私は11組。乾くんと同じ。」
越前君は運ばれてきたジュースに口をつけた。
私はその中身に目を丸くした。
「それ・・・」
「あぁ、オレンジジュースだ。」
オレンジジュース・・・大人っぽい彼になんとなく似合わない気がして思わず吹き出してしまった。
「何笑ってんだよ!!」
「あは・・・だ・・・だって、越前君がオレンジジュースって・・・コーヒーとかかと思ってた。」
私が笑い続けるのを越前君はしょうがねぇなぁ。と言うように眺めていた。
「あはは・・・ごめん。こんなに笑ったの久しぶりだわ。」
「ならよかった。俺も、お前が笑った顔、初めて見たよ。」
越前君は、ふっと優しい目をした。
きっと・・・あの人は私にこんな優しい目を向けてくれない。
「私、今日そんな笑ってなかった?」
きくと、少し言いづらそうに答えた。
「今日っつーか、初めて見た日からずっと・・・だな。」
「私のこと・・・知ってたの?」
少しの沈黙の後、重々しく答えた。
「あぁ・・・。チビスケから、きいた。」
その言葉に何とも言えない気分になった。
そして、自嘲気味に笑った。
「そっか・・・。ってことはさ、私がリョーマ君に振られたことも知ってるよね。」
「あぁ、聞いた。」
私はリョーマ君に告白した。そして、振られた。
彼は私の想いが真剣であったことをわかってくれた。だから、彼も真剣に答えてくれた。
彼は、まだ恋愛よりもテニスが大事で・・・もし、私がこれからも想っていても彼が私に答えてくれる可能性はないと・・・。
「私すっきり諦めたよ?」
だから、あの日からコートに行かなくなった。
リョーマ君に会わなくなった。
「でも、が心から笑えないのはまだ、あいつがいるからだろう。ここに。」
越前君は自分の胸を指でトントンと叩いた。
私は・・・まだ想ってる?
「俺じゃ・・・駄目か?」
突然の言葉に私は俯いていた顔を上げた。
見ると越前君は真剣な目をしていた。吸い込まれてしまいそうな目。
私は、サッと目をそらした。
「なんで・・・」
声が震える。
「俺は、転校して来た日に泣いてるお前を見かけた。チビスケに聞いたら話してくれたよ。お前のこと。なんつうーか俺の柄じゃねぇかもしれねぇけど、お前に一目ぼれしちゃったんだよな。」
「私に・・・」
顔が赤くなってドキドキする。
最初はリョーマ君に似てるからかと思ってたけど、本当は会ったときからわかってた、リョーマ君と越前君は違う人だって・・・。私が今ドキドキしているのは越前君なんだと思う。
「お友達からお願いできますか?」
そっと、聞くと「あぁ。」と満面の笑顔で答えてくれた。
「そうと決まったら早速デートだ!!」
越前君は立ち上がり、買い物袋を持つと半ば強引に私の腕を引っ張った。
「越前君!!」
「リョーガで良いよ!!チビスケは名前なんだから!」
「リョーガ君!」
「なんだ〜!」
文句を言おうかと思ったけどあまりに嬉しそうな顔を見たらそんな気も吹っ飛んでしまった。
つられて私も笑ってしまう。
あわてんぼうなサンタクロースの少し早いクリスマスプレゼント。
あとがき
久しぶりなリョーガ君ドリです。
クリスマスソング聞くとワクワクしますよ〜。
リョーガのことを越前君と呼ばせるのは新鮮でした。