空は高く晴れ渡っていて
まさに文化祭日和。
「さて、どうしたもんかな。」
は廊下をうろうろしながら面白そうなところを探している。
「ちゃんv」
「んきゃっ!!!」
急に後ろから肩をたたかれ驚きひっくり返ったは
その状態のまま上を見上げると心配そうな顔で覗き込む不二がいる。
「ふっ・・・不二先輩。」
不二はの手をとり、優しく引っ張りあげると
ごめんね、と言って微笑んだ。
「・・・ところでどうしたんですか?」
「ん?僕はやるコトなくて見て回ってるんだ。」
「私もですよ!おそろいですねv
・・・折角ですし、一緒にまわりませんか?」
不二はにっこりと笑い
「喜んでお供します。お姫様v」
そう言って右手を差し出す。
は少し照れたように笑って
差し出された右手に自分の左手をのせた。
余談だが、3−6ではが一人で廊下を歩いているのを発見した某少年が
魔王的 最上級の微笑でもって同じクラスの某K君に
仕事を託し教室を出て行く姿が確認されている。
尚、彼らのクラスメイト達に教室を出て行く少年 不二 を止める術はなかったという。
「そうだ。ハイ、これあげるよ。」
「これ・・・は?」
の手にちょこんと乗せられていたのはかわいい包みに入ったクッキーであった。
「僕のクラスで売っているやつだよ。あげるよv」
「うわぁーvvでも・・・お金・・・。」
「いいよ、僕からのプレゼント。」
不二はそういうとの顔を覗き込んで笑い、つられるようにも微笑む。
不二はふと顔をあげての手をひく。
「・・・忙しかったでしょ?疲れてない?」
「私は大丈夫です。
あっ・・不二先輩はお疲れですか?」
不二は苦笑いをして、少しだけね、といった。
「じゃあ、中庭のベンチあたりで休みませんか?
うん、そうしましょう!」
そういうとは不二の手をとり歩き出す。
不二は少し驚いた顔をして、
自分よりも小さく、暖かな感触に微笑を浮かべた。
緑のにおいと日差しが心地よい中庭、校内からはたくさんの声が降ってくる。
「ここは人いないですねー。さすがに皆、校内ですかね。」
「そうだね。」
のんびりと中庭のベンチに二人並んで座っている。
「あのぅ・・・」
「ん?」
「これ、たべてもいいですか?」
さっき不二の渡したクッキーを手に取り、は不二にたずねた。
不二がいつものようにくすりと笑ってうなづくと
は一枚だけクッキーを取り出し一口かじる。
「ん、おいしいvv」
「よかった。でも、実は僕、まだ食べたことないんだ。」
「そうなんですか?じゃあ一枚どうぞv」
不二はそれじゃあ遠慮なく、と言って
微笑を浮かべ
が一口だけ食べたクッキーを持つ手をそっと引き寄せ
自分の口へ運んだ。
「えっ・・・!?」
「ごちそうさまv」
「私の食べかけなんかじゃなくて、新しいの食べてよかったんですよ?」
「僕はこれで満足なんだよ。
ありがとう。」
がそれを聞いて顔が少し赤くなるのとほぼ同時に
不二は視界から消え、ひざの上に重みを感じる。
さらさらの不二の髪のにおいがに届いてくる。
「不二先輩・・・?」
「ダメ・・・かな?」
不二の見上げた先には優しい陽だまりと微笑むがいた。
不二はそれをみて安心し
暖かい光の中、浅い眠りに落ちていった。
「んっ・・・?」
不二が目を開くとあたりは淡いオレンジ色に包まれている。
「もう、夕方・・・か。」
起き上がっての顔をみてみると不二が腿の上にいたためか
そのままの体勢で眠ってしまっている。
二人して、寝ちゃったんだね。
不二はそうつぶやくと
のほほにふれる。
まだ、はおきない。
どうやら不二よりも深い眠りのようだ。
「好きだよ。」
不二は夢の中で幸せだった。
夢なのにのにおいに包まれていて
優しい光の満ちていた夢。
それがとても心地よくて・・・。
「ちゃん。」
呼んでもおきなくて
不二は少しだけいたずらに笑って
おでこに軽くキスをした。
「唇にしたら、目が覚めるかな・・・・?」
―でも我慢しておくよ。―
そのかわりに
もう一度だけ
答えの返ってこない
想いをつぶやいた。
END